大学を卒業してから数年間、私は米国人博士から音声重視の教授法を学び続けて、高校で英語を教えると同時に自分の教室の生徒さんたちには詳しく発音の基礎から教えていました。 音声学的理論で自分自身の発音も矯正できるようになってきたと感じてきた頃に、ある英語の先生を通して、初めて発音矯正レッスンの依頼がありました。
ご紹介くださったベテランの英語の先生の話では、Mさんは英語の発音があまり良くなく、多分、耳がよく聞こえないか悪いのでは？とのことでした。 聴覚に問題があるならば、確かに語学学習は厳しいのではと不安に駆られながらも先ずは一度お会いすることにしました。
その生徒Mさんは年齢が54歳、とても誠実で心優しく敬虔なクリスチャンでした。 米国の大学に留学中のご自分の娘さんに会うために綿密に計画を立てて、ある日本人英語教師について約２年間英会話を習い、全ての会話表現をマスターして、お一人でニューヨークへ旅立ち、１か間ほど知人の米国人宅にホームステイされたとのことです。
初めてお会いした日、「先生、私に英語の発音の基礎の基礎から教えてください！」とＭさんから熱心に頼まれました。
そして、彼女から聞いた話は耳を疑うほどに辛い経験の連続だったのでした。
（ to be continued ）
