舌小帯短縮症(その2) 保護者の意識と知識の高さが必要! 

発音指導での留意点 ★ 言語 language の語源は 「舌」

 

前回に引き続き、舌小帯の問題についてのブログ。

 

▶︎ 「言語」の語源は、ベロ(舌)!

最初に、英語で「言語」は ”language”  だが、14世紀ラテン語  “lingua” ( 舌、話し言葉 ) が語源だ。(ジーニアス英和大辞典より)

 

ご存知の方は多いかもしれない。

母国語は英語で、 “mother tongue”  ( 母親の舌 ) 直訳だが、一般的に確かに赤ちゃんは母親が話す口元をじっと見て聞いている。

 

口元というより、もしかしたら本当は舌なのかもしれない。赤ちゃんから幼児にかけては、語学の天才なのだから。

 

つまり、ベロと言葉の関係は、切っても切り離すことができない重要な関係にある。

 

 

 

 

▶︎ 英語の発音と日本語の発音 ベロ先問題

 

さて、英語を発音する際には、母音でも子音でも、ベロ先の定まった位置がある。ベロ先だけではなく、ベロの縁全体を使う音もある。

 

ベロのどの位置を上の歯茎のどこにどの様に付けてその後どうするのか、破裂するのか(破裂音)、摩擦するのか(摩擦音)、又は破裂した直後に破裂する(破擦音)のかなどがきちんと分類されている。子音は24個ある。

 

ベロの先やベロの全体が1音ずつ、実に瞬時によく動いてはっきりと発音されており、その「音」によって言葉が伝達される言語である。

 

発音が不明瞭な場合は、聞き手から、I’m sorry, I don’t understand you.” と伝えられる。

 

そういう意味では、英語の場合、とにかく発音が重要な役割を果たす。

 

 

 

▶︎  小学校英語教育、外国人も大変呆れた指導とは

 

とある小学校の英語の先生が生徒にこの様に指導してると聞いた。

 

「日本人なのだから、発音はできなくても、気持ちを伝える心が大切。身振りで精一杯に伝えよう。」

 

とんでもない指導だと私は驚いた。また、この話にネイティブの友人は、一言、“STUPID!” と呆れていた。

 

さて、日本語を話す際のベロ先の位置は、英語のそれとはかなり異なることが分かっている。

 

ベロ先は浮いているなど、ベロ先の定置がはっきりとしていないことが多い。

 

日本語の発音に関して、日本語の教師である私の友人達の話でも「色々と曖昧だ」、又は研究が未だ新分野であるとの話だ。

 

少なくとも、ベロ先を使わなくて日本語では話ができることが分かったが、私自身、最新の日本語の発音指導法を調べて学びたいと考えている。

 

 

▶︎  イライザ前田塾での「ベロ問題対処」

 

最後に、これまでの生徒さんや母親の皆さんとの話だ。

 

 

1)「子供が大きくなって、英語を話すときには、もしかしたら舌小帯を切る必要があるかもしれませんね」と医師から助言されたという母親もいた。

手術は絶対に怖いし嫌だと親子でずっと恐れていたとの話だ。

 

2)子供がギリギリに何とかベロ先を使うことができたから、舌小帯はそのまま残すという親御さんもいたが、その後、その子は何かと上手くベロが回らなかった。指導者の私としても、残念ながら、強制できることではないと認識はしている。

 

3)「前田先生から英語を習う前には、歯医者さんに相談して切ってもらい、舌の方は準備してきました。」という小学3年生の子の母親もいた。

その生徒さんは、スピーチコンテストの選抜で入賞し、本選大会に向けて猛練習をして輝いていた思い出がある。

 

4)私からの説明で、物理的に子供のベロ先が歯茎に届かないと分かり、即、医師に相談の上、処置をしてきた生徒さんもいた。

その場合は、連絡を取り合って様子を伺い、数日後から舌の裏の切開した部分が固まらないように、ベロの運動をしてもらい、良い具合に動かせるようになった。

英語学習に熱心な母親と生徒さんと私との3人で一緒に取り組んだ。その子は英語が上手になり、いつも素敵な笑顔で勉強していた。

 

▶︎ 今後、日本の英語教育のために「ベロ問題対処」

 

ベロ先が使えないために、物理的に発音が困難、又は不可能な場合もある舌小帯短縮症だ。

 

アメリカの医師達は、親や保護者が子供のその症状を放置しているならば、深刻な問題として考え、育児の “neglect” として痛烈に批判していると聞く。

 

舌小帯短縮症の赤ちゃんの中には、母乳の吸い付きが良くないために生育に影響が出てくる場合があるというが、ベロの状態を確認するという意識、知識がないことが多い。

 

母親が愛情一杯に子育てしている中、知らなかったでは、悲しすぎる話だ。

 

医師達の中には、意識が高く、直ぐに対処できる方もいるだろうが、日本ではその数は多くはないと聞く。

 

グローバル化した社会の中で、英語教育に多大な時間をかけている日本でも、できるだけ早い時期にベロ「舌」の問題を真剣に考える必要かあるかと思う。

 

一番の基礎としての発音を習得する際に、お子さんの、又はご自分のベロ「舌」と向き合ってみませんか。

 

 

 

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