「先生、私、英語の発音が習いたいんです! 外国の人に通じる発音を教えてください。」
まず、Mさんが覚えた英会話の表現をいくつか聞かせてもらったところ、強弱もリズムもなくふわふわと優しく柔らかい音が口から出てきて、とても英語には聞こえないものでした。 彼女の切実な願いが叶うかどうか、本当に耳が悪い?よく聞こえないのかどうか分からないまま、とりあえず基礎の基礎から英語発音矯正レッスンを始めました。
最初は、私が考案した口周りと舌のトレーニングから始めました。 そして、その日から1日に3回は行うことを宿題にしました。
いよいよ英語の発音の枠組、骨格となる子音ですが、日本語に近い子音から発声する訓練をしました。 しっかりと立って足を肩幅に開き姿勢を正して、腹式発声法で/ p / , / b /, / k / , / g / など の音を出しますが、最初は非常に弱弱しい声で、予想した通り日本人訛りの発音で、プッ、ブッ、クッ、グッと母音が入っていて唇もウの小さくすぼめた形になっていました。
英語本来の子音を出すのに、一緒に大きな声で手取り足取り、何度も強く体から発声し続けて、何とか正しく、そしてはっきりと大きな声で出るようになってきました。
次にさらに難しく、舌の先を歯茎につけて破裂させる / t / , / d / の子音、そしていよいよ日本語にはない子音 / f / , / v / , / r / , / l / などの音を訓練していきました。
一般的には語学習得は、若ければ若いほど良い、そして18歳までが効果的であると言われています。
50代半ばのMさんには決して楽な訓練ではありませんでしたが、意外とそして、不思議なことに発音訓練はスムーズに進めることができました。 ご自身の辛い経験から通じる発音の習得をという強い動機があり、非常に熱心に取り組んだからでしょう。 ご本人の希望もあり、最初の3か月間は週2回のペースで90分レッスンを続けていきました。
( to be continued )