小学校での英語による不可解な発音事件発生!★ Nice to me too!?
当スクールでは、 英語基礎力とつけるために、最初に英語の発音をアルファベット、子音、母音とフォニックス、2音節以上の語のリダクションという様に、積み上げ式で指導している。
したがって、一般的に行われているように、いきなり会話文からは指導していない。
先日、様々な英文指導をスタートした時のことだった。
“Nice to meet you.” は、「初めまして」という意味のあいさつであることを伝えたら、「知っている!学校で習った!でも違う言い方をしているよ、Nice to me too.って」とのリアクション。
生徒さん全員(小学4,5年生)が口を揃えて、自信たっぷりと大きな声でいう。”Nice to me too.” 私には、間違いなくそう聞こえる。
彼らは、数校の異なる学校に通っていて、その外国人講師の名前も数人に及び、スクールの他の同レベルクラス生にもその同じ発音問題が起きていた。
納得できず、更に聞いてみた。外国人講師のあとに皆で大きな声でそう繰り返して言うと、”Good!” , “Very good !”とほめられるとの話。
そんな不可解な事があるのかと、私はホワイトボードに文字を書いて、”Nice to meet you.” の”meet you” の部分を3パターン発音をして聞いてもらった。
(普段はほぼカタカナは使わないのだが、今回ブログでは分かりやすくするために、あえてカタカナで表記してみる。)
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〜“meet you” 3パターンの発音〜
① meet you /mi:tʃu:/ あえてカタカナにすると「ミーチュー」
この発音が一般的に多く聞かれる。meet の語尾の /t/ とyou の語頭の /j/ がリダクション(弱化)の融合現象を起こして「チュ」のようになる。
② meet you /mi:ʔju:/ あえてカタカナにすると「ミーッユー」
/ʔ /は声門閉鎖音(glottal stop)という音声学の記号であり、喉に力をいれて一時的に閉じるという意味。
③ meet you /mi:tju:/ こちらもあえてカタカナにすると「ミートゥユー」
/t/ の部分が日本語とは調音点(音が作られる場所)が異なって歯茎音。
また、/j/ は「ユ」に近い発音だが、例えば、/jen/ だと日本語では「円」となってしまい、一般的に日本人には上手く発音できないし、聞こえにくい音。
さてここで、小学校で習ったという発音を記号で表すと、/mi:tu:/ 「ミートゥー」となり、”me too” と聞こえる。上の3つとは違う発音なのだ。
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説明をし終えた直後に、ある小学4年生の女子生徒が伝えてくれた。
「先生、実は外国人の先生は、ちやんと③の「ミートゥユー」と発音しているんだけれど、皆が /j/ のところが正しく聞き取れなくて、「ミートゥー」って発音してしまっているの!」
彼女が外国人の先生の発音を良く聞き取って、問題を分析して説明してくれたことに、私は大変関心し、感動した。
2年半程スクールで学んで発音が良いその生徒は、正確に聞き取れる力だけでなく、間違いを分析できる力さえもついていた。現場で聞いていた彼女のおかげで、この不可解な発音事件は、見事に解決された。
その後レッスンで、生徒さんたちは発音のミスに納得して、 “Nice to meet you.” を正しく習得したが、もちろん理想は「やり直しが必要ない英語教育」なのだ。